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逆説の日本史

理系に進んでしまうと日本史や世界史なんて本当に中学レベルの知識で停止してしまう。かといって、まじめに勉強するとこれまた大変。「逆説の日本史」シリーズは、日本史だけでなく、倫理、宗教、現代史全般に渡ってうまくまとまっていて、かつ読みやすい。
 世界史は良書がたくさんあって比較的選びやすいと思うのだが、日本史の書籍となるとどうもうさん臭くなる。大戦や天皇をどう評価するかで右とか左とか親日とか反日とか...。古事記、日本書紀に何が書かれてあるの?とか、テレビの歴史物の描き方はあれで良いの?とかの疑問に答えてくれて、かつ、役に立たないトリビア本でなく、難しい学術書でないもの...となるとほとんど見当たらない。
逆説の日本史シリーズは、この点でうまくツボを押さえてあると思う。とにかく教科書では学ばなかった歴史的事実のオンパレード。何より現代の視点から書かれてあるので読みやすい(それが弱点でもあるのだが...)。ついつい一気に4巻まで読み進んでしまった。古代日本史は天皇の歴史だとも思うが、天皇家の内情にまで切り込んで読みやすい書籍って意外にないんよね。それに、現代にまで通ずる古代からの「宗教観」が日本史に及ぼした影響をについて掘り下げている点などは、純粋に「日本人って何だろう」と考えさせられる。
 本書にだって問題はないわけではない。この内容は正しいの?とか、筆者の主張は分かるけど表現がゆがんでないか?とか、この部分は歴史解説書の名を借りた政治論評じゃないの?とか...。まぁ、くどい箇所はあまり気にせず読み進むのがコツかも知れない。どうしても気になる人は、インターネット上に論説があふれているので目を通した方いいかも。
 しかし、肩を張って日本史を勉強する本と言うよりも、日本文化や、現代日本人の有りようのルーツを知るための良い手がかりになると思う。