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バチカンの素顔

 バチカンは、言わずとしれたダン・ブラウン著の「天使と悪魔」の舞台で、ローマ・カトリックの総本山で、世界一の小国で、一国丸ごと世界遺産の国である。このバチカンをナショナルジオグラフィックならではの美しい写真で紹介した新刊が「バチカンの素顔」である。
 ナショジオの記者が1991年に1年間かけて写真取材したものを元に編集されており、今回は「天使と悪魔」ブームに合わせての発刊だろうか。当時の教皇はヨハネ・パウロ2世であり、何度も写真に登場する。ただし、全7章のうち最後の1章は2005年に選出されたベネディクト16世関連の章となっている。情報が古いと言えばそうなのかもしれないが、そもそも使徒ペトロの墓所とされる教会堂などは築後1600年以上。10年程度の変化など誤差の範囲。それよりも、分厚いカラー上質紙250ページのボリュームに、150ページ以上のフルカラー写真で、定価2,800円はお買い得ではなかろうか。重さはずっしりくるのだが、中身はそれ以上に歴史の重さがずっしり詰まっており、圧倒的でさえある。
 「天使と悪魔」は小説だけだと、その舞台となる建物や美術品(と呼ぶべきか?)などの基本的な知識がないと、文章だけではビジュアライズが困難。言ってみれば、小説で世界遺産の観光案内しているようなもんだからねぇ。映画だと分かりやすいのかもしれないが、今度はおそらく推理やストーリを追えなくなるだろう。「読んでから観るか、観てから読むか」とよく言うが、この「バチカンの素顔」を、小説と合わせて読む(観る)と、イルミナティの世界もとい、カトリックの世界にどっぷりと浸れること請け合いである。